家族の絆

　ナイジェリアから南アフリカへ舞台が移りそうな気配に、4月のロンドンでの情景を思い浮かべた。あのときの彼は、確か南アフリカの出身ではなかったかと思い出した。
　直ちに、ジョーに南アフリカからファックスが届いた旨メールした。夕方には電話でもファックスが届いたことを伝えた。いつものジョーとは違って電話を通して喜びが伝わってきた。彼の娘達も早く日本へ行きたがっていると久しぶりに家族の話も出て来た。

　祐一は子供達のことが、少し心に引っかかっていた。学校の夏休みが、残すところ後一週間ぐらいになってしまったが、絵梨と純一は夏休みの宿題とかどうなのだろうか？絵梨は塾の夏期講習でほとんど遊びに行く暇もなく、毎日一所懸命に通っていたようだが、どうだったのだろうか？母親の絵美はますます、教育ママになっていくようだが、絵梨はそれに納得しているのであろうか？この週末にでも、時間があれば、聞いてみよう。
　一方、純一だが、部活のサッカーやサッカークラブの練習で、この夏休みほとんど時間が取られてしまったようだが、宿題は終わっているのかな？まあ、絵美がそのことはうまくやっているだろうが・・・。
　どうしても、家のことや子供たちのことは妻の絵美にまかせっきりになってしまう。父親としてそれでいいのだろうか？ふとそんなことが、頭をよぎったが、直ぐに自分自身の仕事のことに没頭してしまった。