家族の絆
 お昼休みにユキに電話を入れてみた。掛かって来ることは何度もあったが、こちらからは、今まで一度も電話をしたことのない時間帯で、おそらく午前中はゆっくり寝ているだろうから、と思っていたが、直ぐに応じた。
「祐一さん、どうかしたの?」
「たいした事ではないのだが・・・」
 語尾が消えてしまった。重苦しい気持ちが、声に乗っていたのかもしれない。
「そんなことないように思うよ」
「それよりまだ寝ていたのかな?」
「普通には少し遅いかもしれないけど、7時過ぎには起きているよ」
「そうなんだ」
「ところで、なあに!お金?」
「いや・・・」
「いつだったか、アフリカがどうのっていっていたよね。その関係なんでしょう!」
ユキにジョーやロバートとの話はしていなかったように思っていたが、話したことがあったのかな?
「まあ、そういったところだけど、ユキちゃんにいうような話じゃなかったな」
「それで一体いくら必要なの!?」
「・・・」
「祐一さん、大丈夫だから、言ってよ!いくら必要なの?」
「70万円ぐらいかな・・・」
「うん、わかった。いつ必要なの?明日でいい?明日の朝、渋谷かどこかで・・・」
「じゃあ、新橋に10時で!」
「わかった。気にしないで!」
ユキに電話をしようと思ったとき、こんなふうに話が進むとは思ってもいなかった。
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