冷たい男
「良いよね、家柄にも恵まれた2人は」



「「…………」」



「蓮也のお母さんみたいに、私でも良いと言ってくれても、侑李ちゃんには敵わないからね」



「……お金で付き合ってると?」



「そうは言ってないよ!ただ、後押しはしてるよね?」



「「…………」」



それはどう言う意味だろうか。

もう答えを聞く気も失せてしまうが、挑発されてるようで、心穏やかに居られない。

私も頼香ちゃんも入院してるのに、何故こんな事をしてるのか。



「足立さーん、お食事ですよ」



看護助手さんが持って来てくれた食事は、味気ない病院食。

しかし、食器が部屋の等級によって違う。

頼香ちゃんはそれすら気に障ったのか、溜め息を残して病室を出て行く。

呼び出しが掛かる前に戻るつもりだろう。



「……何が終わってたのか」



「俺には終わった話」



「…………」



…そういう話ね。

風岡から、頼香ちゃんとの事は終わったと聞いて居た。

でも、彼からしたら終わってたという事だった。

呆れつつも嫌いになれるわけないし、なるつもりもない私は、食事を取る。



「今日、兄貴は」



「何か着てたよ」



私は携帯を風岡に渡して、メールを見させる。

来るなら来れば良いし、来ないなら来ないで気にしない。

好きにすれば良いと言ってるけど、メールで予定を寄越して来る。



「来るだと」



…4日連続、暇なんだ。




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