あ、あ、あ愛してる
不安と不調の狭間で
合唱コンクール横浜大会以降、異和感が日に日に強くなっていた。

喋ろうとすると言葉が出ないだけでなく、声自体が出にくい。

咳が出ると立て続けに暫く止まらず、胸がつつかれたように痛み出し、過呼吸になる。

抜けない倦怠感と歌い終えた時の息苦しさに加え、喘息の発作が頻繁で、空き時間のたび倒れるように横になる。

それでも「喘息発作がひどい」「パニック症候群がひどい」だけだと薬を飲み、治まるまで安静に過ごし凌いだ。

「和音、休めるときにしっかり休めよ」

拓斗と奏汰が心配し、気遣ってくれているのを感じるが頑なに大丈夫だからと強がってみせる。

喉が詰まった感じと引きつる感じに不安が募る。

不安を抱えたまま、合唱コンクール県大会の日を迎えた。

夏休み初日なのに、朝からコーラス部員たちと電車に乗り込み会場まで向かった。
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