あ、あ、あ愛してる
白羽の矢
俺が声を絞り出し歌った「ROSE」は、それまで歌ったどの歌よりも、自分自身の胸に響いた。

嗄れて音の狂った歌声だった。

頼りなく消え入りそうな弱々しい声しか出なかった。

昨日までは全く出なかった声が出た、俺はそれだけでも嬉しかった。

嬉しさはもう1つある。

花音たちは全国大会常連で優勝候補だった福島県の高校に敗れ、優勝は逃したけれど準優勝だった。

金杯ではなく、銀杯を持ち帰った花音は病室で銀杯を見つめ悔しがっていた。

俺は「来年は優勝な」と、花音の頭を撫でた。

俺の病状は俺が喘息持ちのため、肺の機能が順調には治らず、頻繁に呼吸困難を起こし体力もなかなか戻らなかった。

俺ができるだけ元の声を保つために、気管切開は残したまま、気管孔にカニューレやレチナを挿入し、スピーチバル弁を装着した喉は、たびたび炎症を起こし、炎症が引くまでリハビリができなくなった。


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