あ、あ、あ愛してる
『わかった……』

和音くんの顔から笑みが消えていた。

『ニューヨークに行く。花音と横浜の夜景を観れて良かった』

和音くんの目が真っ赤だった。

『君に出会って、まともに喋れないことが心底辛いと思った。君がAliceと呼んでくれる、それだけで嬉しかった。喋れないことを隠している自分が……喋らないキャラ綿貫和音を演じている嘘が耐えられなくなった』

手話をしながら、手が震えていた。

『俺、喋れないことをさらけ出して楽になったし、喋れるようになりたいと本気で思った。君には俺のみっともないとこ、辛くても見せていいと思った』

思いがけない和音くんの言葉に、胸が詰まる。

『花音、君はLIBERTEの和音しか見ていなかったかもしれないけれど、俺は君に初めて会った日から……ずっと、君が好きだった』
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