真夜中のアリス

+◆遡ること 数時間前・城にて◆+


「ねえー、エースさん。暇なんですけどー」

機嫌を直した女王は時間を持て余している様子で、のんびりとした口調で忙しなく部屋を行き交うかエースにに話しかける。

「…だ、か、ら!ここで名前呼ばないでってば!
それにね、女王の位をお持ちの御方が早々に城外に出ちゃいけないの!わかる?」

つかつかと、女王の眼前に歩みを進め、先程の頼りなさげの表情と打って変わり、妹を叱責する兄のように語尾を強め厳しく女王の行動を咎める。

「…ちぇー。エースさんのくせに生意気ー。」

そんなことなど御構い無し。そう言わんばかりに短い赤毛を弄びながら女王は頬を膨らませて返答する。
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