真夜中のアリス

The world of the dream Alice sees


案内された小綺麗な小さな小屋は、茶葉の保管庫らしいく様々な薫りが一室を賑やかに来る者の鼻腔をすうっと侵入しては馨しい薫りで楽しませている。
濡れたワンピースを手に掛けて丁寧に脱ぐ動作。香水を振りまいた訳ではないのだけれども、あたし自身からふわりと甘い甘い薔薇の匂いがしっかりと薫られている。

「(…ローズティーだったもんなぁ。溢したの。案外匂い、キツいんだ…)」

その薫りは彼に贈ったあの金木犀の香水になんだか似ていて、瞳を閉じればすぐ傍に感じられてすぐ隣にいるんじゃないかという錯覚すら起こす。
当たり前だけれど、振り向いた先には誰もいない。それが余計に心を苦しくさせる。
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