真夜中のアリス

Gentle time


“もう自分をお許しになってください”

本当は。ずっと。
誰かにそう言って欲しかった。
止むことのない叱責と罪悪の間で立ち往生を続け身動き一つ取れずにいた。
忘れる事は逃げの一つだと解っていた、それを行えばもっと罪悪に苦しむ事は明白だったのに迷わず忌まわしい記憶を封にして沈めて忘れようとしていたんだ。
それが叶って、けれどもまた忘れたことに対しての苦しみが現れた。

苦しくて。ただ苦しくて。
絶対に自分を許す事なんて出来るわけがないから、苦しむしか他なくて。
それは何があったとしても、変わらず永遠に続いていくだろう。
それが彼に残酷な嘘を突きつけてしまったあたしの贖罪なのだから。

だけど、ずっと誰かから告げられる“赦し”が欲しかった。

…違う、誰かじゃない。本当はずっと……
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