真夜中のアリス
目の前には見失ったばかりのあの黒ウサギ。のはずなのだが、あり得ない。信じられない、そんな事が目の前で起こっている出来事にあたしはまたもや言葉を失う。
「…嘘でしょ…。な、な、な、…なんでウサギが…。に、二足歩行してんのよ!!」
そう。あたしが見つけたあのウサギは見紛うことなきあの黒ウサギだ。特徴的な赤い瞳と首にぶら下がるあの懐中時計がその証拠。
あの裏路地までは確かにウサギだった。どこにでもいる普通の黒い毛並みのウサギ。
じゃあ今あたしが見ているのは一体なに?
…ウサギの顔はそのままなのに、あの変な男の身なりと同じ物を身を包み、懐中時計とにらめっこをしながら必死に駆けている。
「大変だ大変だっ!早く行かなきゃ女王さまに怒られてしまう!」