真夜中のアリス
「ねえ、ウサギ。随分歩いた気がするけどまだ着かないの?」
森での会話がもう数時間前の話なのかと思うくらいの長時間、あたしとウサギは暗闇の中をただただ闇雲に前へと進んでいた。
景色は一向に変わらない木々と少し明るさが出始めたけれど依然とした暗闇の中。途中に湖というより水の匂いがしただけなのだがあったりと、ここはどこかの国の郊外の私有地の森ではないのだろうかと推理してみる。
「うーんと…まずは、女王さまへの献上物を取りに行かなきゃだから最初に街へ行くんだけど、街はまだまだ先かな」
相変わらず手は繋がったまま(二足歩行で人間のように服を身に纏っていても、所詮はウサギ。手と言っても普通の兎と何ら変わらない動物のもふもふした、あの手)、ゆっくりとでも確実に前へ進んでいく。