真夜中のアリス

ウサギは安心したかのように溜め息をひとつ零し、よいしょと呟き立ち上がる。

「お戻りに…って、この国の女王は平気で城を離れるの?」

立ち上がったタイミングで腰を下ろしていた、あたしも立ち上がり膝に付着した落ち葉や木の枝を払う。案外あっさり落ちるものだ。

「うん、そうだね。女王さま直々に城下町や森を視察なさるから。さぁ行こうか、街はもうすぐ先だよ」

今度はウサギがあたしの手を引いて前方を歩く。まあ歩くというより、ぴょこぴょこ跳んでいると言った方が正しいのかもしれない。
その大差の違いが面白く思い小さく吹き出す。
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