世界の嘲笑にアルカイックスマイルを


がたん、扉の閉まった音に立ち上がる。
感情の思うままに体を任せた。

教室を飛び出し、左を見る。
彼女の後ろ姿に泣きたくなって、後ろから飛びつくように抱き締めた。


「せんせせくはら?」

くすくす、笑うその声はいつも通りで。
泣いてたように見えたのは幻だったのか。

本当に彼女は、

「せんせ」
『……』

なんと言えばいいのか、抱き締めたぬくもりに冷静になってふと考える。

「せーんせ?」
『……あの教室に戻ってきてくれませんか』

笑い、呼ぶ彼女の声にこぼれた言葉は何故か敬語で。

「なんで?理由は」

俺の腕の中で彼女は振り向き、にっこり小悪魔な笑顔で尋ねてくる。



その笑みは、ダメだって。

『……キスしたい』
「ここですれば」


ちょこっと小首を傾げ上目遣い。


本当に彼女は、俺を煽るのが上手い


僅かな隙間も出来ないように彼女の腰を抱き寄せ、唇を重ねた。

誰が通るかわからない、そんなスリルからか心臓がいつもより早い。


彼女の手がYシャツを引く感覚に、我に返り
流石にまずいと、離れ、吐息のかかる距離でそっと囁いた。


『戻って、こいよ』

にっこり笑い、手を伸ばして来た彼女を横抱きにして、足早に教室に戻る。




がたん、かちゃ鍵を閉める音を聞くと、彼女を引き寄せ貪るようにキスを交わす。

「……っ、せんっ、せぇ」

いつもの何倍も甘い声に、理性の箍が外れそうになる。

『お前本当、なんなの』

何となく、自分に苛ついて彼女にも八つ当たりぎみに、舌に軽く歯を立てて、自分のを絡める。

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