【続】興味があるなら恋をしよう
ブーブー…。

【もう部屋に居るのか?そろそろお開きだ。迎えに行く】

あ…課長…。

【はい、部屋に居ます。どのくらい後ですか?】

【3、40分後かな。それ程かからないかも知れない】

【解りました】


はぁ。ドキドキした。

ピンポン。え?

「はい。え?」

「行くのか?あっちに」

坂本さん…。

「…人が居て、…部屋が明るくて、だけど何も無いなんて。見るからに寂しいもんだな」

玄関から見えるガランとした部屋は、見通しも良すぎて寒々としていた。

「課長が、もう終わるから、迎えに来るって、今、連絡が…」

…。

「藍原…。藍原の中では、酔った俺がした事にしてくれて構わない…そうしておけ…」

え。いきなり両手首を掴まれ、壁に押し付けられた。え?私の為の、言い訳?
そう言った唇は、問い返させないまま私の唇を塞いだ。
している事は乱暴なのに。
どうしてこんな…。優しいキスをするの?…。

「……したかったからした。俺は前科者だからな。…前科四犯だ」

もう一度唇が触れた。

「これはカウントしない。…続きだから…」

少し食むようなキスになった。坂本さん…。いつも、触れるだけしか…しなかったのに。
手を降ろすと身体は壁にもたれるようになり、腰に腕を回された。
………こんなの駄目だと解っている。このまま続けては駄目だって。

背中に腕を回しそうになったその時、唇は離れた。その唇…追い掛けてしまいそうになった…。
ゆっくりと見つめながら離れていった。

「…現行犯で確保されない内に退散するよ。…狡いだろ?」

もう一度抱きしめ、身体をきちんと立たせると、頭を軽く撫でられた。

「頼む、しっかりしといてくれよ?なんて…勝手な事しておいて、勝手な言い草だな。じゃあな。…謝らないぞ」

あ…、ヘナヘナと壁伝いに滑り落ちた。
こんな事は、…駄目。
駄目なのに、心が侵食していく。
直ぐしっかりになんてなれない。
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