【続】興味があるなら恋をしよう
★ ★

ピンポン。……誰だよ。

カチャ。

「はい。……課、長…」

確認もしないでいきなり開けるんじゃなかった。だけど居留守もできない相手といえば相手か…。

「驚かせたな。休みの日にいきなり訪ねて来て悪いと思っている。都合がつくなら、少し話が出来ないかなと思って。下りてきてくれるか。車で待ってる」

本当…いきなりだ。

「はい。着替えて直ぐ出ます」

「解った。悪いな」

「いいえ」

都合が悪いなんて言って断る事は出来ない。そんな状況じゃない。
…昨日の今日だ。
これは行くしかないだろう。

ゴロゴロしていたスウェットの上下を脱ぎ、急いで着替えた。
普段着を多少箱から出しておいて良かった。


「すみません、お待たせしました」

運転席の課長に声を掛けた。

「いや。乗ってくれ」

中からドアを開けてくれた。
急いで助手席側へ回り込んだ。

「すみません、お邪魔します」

車はゆっくりと公道へ出て走り始めた。


「昼回ってるけど、何かもう食べたか?」

「あーいいえ、これと言って食べてはないです」

朝から食欲の事は忘れていた。

「俺も未だなんだ。どこか…、個室のある店に入るか…。
…ここら辺…あるか、な。坂本が行ってるとこは避けた方がいいだろ」

車を走らせながら、課長は首を動かす。
個室、か。
話があるって事だから、そうなるか。

…。

「実家に行ってたんだよ、さっきまで」

「え」

「あぁ、藍原のな」

…そうなんだ。

「一人でだけどな」

え、藍原が?…じゃないよな。

「二人で挨拶は済ませてたんだけど、今回は俺一人」

課長が一人だけで行って…。
藍原抜きでの話か。どんな用があったんだ。…まさか……いや、そんな俺に都合のいい話なんかではない、よな。

…もう挨拶は済ませたんだ。当たり前か、課長は結婚するつもりなんだし。
無意識に課長を見ていた。

「ん?」

げ。…考えていると対象者に目がいってるもんなんだな。

「あっ、そこ、そこなんてどうだ?…開いてるかな」

「あ、俺覗いて来ますよ」

側道に入り、寄せたところで、シートベルトを外して降りた。
…はぁぁ、別に何だっていい。軽く駆けた。

『商い中』になっていた。
どうやら大丈夫そうだ。
一応店の中に入り、個室に空きがあるか確認した。大丈夫だと言う。


「課長、OKです。店の裏手に駐車スペースがあるそうです」

車に戻り告げた。

「有難う、じゃあ停めて来るよ」

店の入口で課長を待つ事にした。
藍原と俺に何があったか、間違いなく知っているはずなのに、その事には何も触れない。
…それをこれから言われるのか。それとも触れないつもりなのか。
責められるより、何も言われない方がキツイって、解ってますよね。
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