天神学園の問題児再来
「……」

おずおずと、ヴラドの横顔を覗き見る花龍。

いまだ祖父と拳銃談義に花を咲かせているヴラドは、その凶悪そうな見てくれとは裏腹に、端正な顔立ちを穏やかに緩ませていた。

学園では重苦しい雰囲気を湛えているこの人が、好きなものを語る時には、こんな表情も見せるのだと。

花龍は初めて知った。

この人は、私と拳銃の話をする時も、こんな表情をするのだろうか。

アルトゥルスやマテバの話をしながら、私にもあんな優しい目を向けてくれるのだろうか。

血を吸い、暗がりを歩き、夜の帝王とさえ呼称される吸血鬼でありながら、あんな優しい目を。

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