天神学園の問題児再来

追撃の紫陽花

夏休み中の天神学園。

職員室でペンを走らせる、インバネスコートの長身の男の姿があった。

橘リゾートへは同行しなかったヴラドだが、別に塒で日中眠りこけている訳ではない。

彼は彼で、ちゃんと教師としての仕事を全うしているのだ。

意外と真面目な一面がある。

そんな彼の手が。

「……」

途中で止まる。

すん、と鼻を鳴らし、顔を上げる。

吸血鬼の本能として、微弱な湿度や空気の変化を嗅ぎ取れるのか。

「嵐が来るな…」

彼は誰に言うでもなく、1人呟いた。

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