恋する5秒前~無愛想なキミと~

上空を見上げると、漆黒の夜空に輝く大輪の華が目に入った。


大小様々な形の花火が次々と打ち上がる。


金、銀、緑、黄色、青色に赤の華が、咲いては散るの繰り返し。


特大の華が夜空に現れると、観客たちの声が一段と大きくなる。


心地よい夜風に当たりながら私は打ち上っては消えていく花火をただ黙って見ていた。


流石にこの辺りでは有名な花火大会だな。


仕掛け花火のナイアガラの滝に、頭上では打ち上げ花火の連発。


クライマックスは特大の花火が次々と打ち上がり、観客達から拍手が湧き起こった。


「花火、綺麗だったね」


瀬戸君が優しく微笑みながら私に声を掛けてきた。


「ナイアガラの滝も良かったよね」


豪快に流れ落ちるナイアガラも圧巻だったな。


「じゃあ、各自ここで解散しまーす!」


香奈の声が飛んできた。


「水野さん、家まで送るよ」


そうだ!未来達も来ていることを瀬戸君にはまだ言ってなかったんだ。


あの子達、桜井君じゃなくて瀬戸君と一緒に帰るって言ったら、なんて応えるかな?


「えっと、あの……」


瀬戸君に言われて私は返答に困ってしまった。


するとーー。

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