腹黒エリートが甘くてズルいんです
「……あの」


もう、気が付かないふりも出来ないほどにがっつり、ばっちりこっちを見ている真正面の菅生さん。


「なに? 莉緒ちゃん。あ、これ美味しかったよ、漁師風サラダ。いる?」

いや、そうではなくて。あの、なんと言いますか。
その完璧な笑顔に言葉を失う。


何だか知らないけど、完全に菅生さんのペースだし。でも、その隣にいる酒井くんが視界の隅で揺れて、ハッと思う。
こうやって、また別の人にもからかわれているあたしを、きっと酒井くんは、心の中でバカにする。
『あいつ、またイケメンに踊らされて……バカだよなぁ』
って。
それは嫌。それだけは嫌だ。

意を決して、息を吸い込む。あたしだって、できるんだから。


「菅生さん、あんまり皆に誤解されるようなこと言わないでくださいよ」


い、言った! ……って、これが精一杯だなんて、我ながら情けない気もするけど、とりあえず言えた。

……と?
言われた菅生さんは、ポカンとしている。由依と同じく『美形はどんな表情をしてもさまになる』を見事に体現している感じ。
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