金魚の見る夢


「どうも御馳走様でした。」

料亭の前で深々と頭を下げる私。

「いえ。」

鳥居君、無表情に頭を下げ返す。

「楽しかったですよ、でも僕の話し、詰まらなかったですか?」

監督の言葉にギクリとする。

ぼんやりしてたのばれたかな?

「いえ、私、緊張してて失礼があったらすみません。」

慌て頭を下げる私に監督も慌てる。

「いやいや、こちらこそ、でも今度はリラックスしてお食事でも出来たら嬉しいな、なんて。」

おやや。

「お食事のお誘いですか?」

程よい笑顔を浮かべ首をかしげてみる私。

「そう、ぶっちゃければそうですね。」

カリカリ頭をかく監督。

結構可愛いじゃない。

「喜んで。」

あはは、モヤモヤ少し晴れた気がする。

到着したタクシーの前で番号交換何かしてみた。

「それじゃ、また。」

タクシーに乗る私に監督が手を振る。

「また。」

軽く頭を下げてからタクシーに乗り込む。

何だか、色々有った対談だったなあ。

深くシートに座りながらも、頭の奥だけが忙しく回ってる様な感覚がいつまでも続いていた。
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