感染学校~死のウイルス~
やっぱり、田井先生の言葉は一番効果的だ。


あたしは数歩後ろから先生たちの様子を見守る事にした。


他の生徒たちも何事かと近づいてきて、準備室の周りに生徒の輪ができる状態になった。


「森本先生、開けますよ」


田井先生がそう言い、森本先生が頷く。


次の瞬間、準備室のドアが大きく開けられた。


田井先生がバッドを握りしめて準備室へと入って行く。


その時、準備室の中に黒い人影が見えた。


ダンボ―ルの後ろに隠れるようにしてサッと身をひそめる。


「田井先生、段ボールの後ろに誰かいる!!」


咄嗟にあたしはそう叫んでいた。


田井先生が体の向きを変えて段ボールへと近づいていく。


その瞬間、段ボールの人影が田井先生の体を押しのけ、こちらへ向けて走り出したのだ。


あたしはハッと息を飲む。


それは体育館に避難していた男子生徒の1人だった。


他に友人がいないのか、昨日からずっと1人でうずくまっていた生徒。


その生徒の両手には食料が抱えられている。
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