感染学校~死のウイルス~
2階の渡り廊下に差し掛かった時だった。


3階の教室のどこからか、人の叫び声が聞こえて来てあたしたち4人は立ち止まった。


甲高い悲鳴とは違う、低く、呻くような声だ。


「今の声、なに?」


空音が怯えたように周囲を見回してそう言った。


「1年の教室から聞こえて来たな」


アラタ先輩が3階へと続く階段を見てそう呟いた。


「おい、行く気じゃないだろうな?」


祐矢先輩が顔をしかめてそう言った。


「行ってねぇとなにが起こってるかわかんねぇだろ」


アラタ先輩はそう言うと、当然のように階段を上がり始めた。


「ちょっと、先輩!」


あたしは慌ててアラタ先輩の後を追いかけた。


「行きたい奴に行かせておけばいいんだ」


後ろから祐矢先輩のそんな声が聞こえて来る。


そうかもしれないけれど、生死がかかった状況でほっておくわけにもいかない。


それに、今聞こえて来たあの悲鳴は辻本先生の声によく似ていた。
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