感染学校~死のウイルス~
☆☆☆

人を殺せばウイルスは消える。


だけど人を殺した時の記憶はしっかりと刻まれたままだ。


殺したくなんてないのに、体が勝手に人を殺しに向かう。


感染者にとってウイルスが抜けた後も、死ぬほどの苦痛が待ち受けているだけだった。


辻本先生がどうにか2人を体育館まで連れて来たものの、やはり周囲からの視線は冷たかった。


2人は血まみれの状態だし、感染していた生徒は歓迎されない。


先生たちは必死でみんなに説明をするけれど、それで納得する生徒はいなかった。


そらからあたしたちは、食事ができていない生徒たちに塩水を作ってふるまった。


自分たちのご飯も、今日はこれだけだ。


ロッカーにある食料は少しずつ少しずつ出していくつもりだった。


それに、D組には友菜ちゃんたちが食べきらなかった食料がまだ残っていたのだ。


これは思わぬ収穫だった。


これならここにいる全員があと数週間は生き延びる事ができる。


取り合いにさえならなければ、命を繋ぐことへの希望は出てくるんだ。


そう思うと、とても嬉しかった。
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