飛べない翼
「僕はさっちゃんを守りたいんです。カウンセラーとしてではなく、一人の人として、君の傍に居たいんです」


先生は、欲しい言葉をくれる。


上から言いつけるでもなく、怒るでも泣くでもなく、ただただ、傍に居てくれる。


優しく包み込むように、微笑んでくれる。


私は、そういう暖かい存在を、待っていたのかもしれない。


「......っ。ありがとう..."月代先生"......」


そう、初めて名前を読んだ。
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