愛し、愛されたのは優しい死神でした。

ただ泣きわめきたいの。
…そうしないと狂ってしまいそうになるから―。思っている事を口に出して、ただ取り乱して…自分の気持ちを落ち着かせる為にはこうするしか無いから―。

『消えたい…消えたい消えたい……!!!』

私は叫んでいた…どうしてこんなに荒れ狂っているのか解らない位取り乱していた。
だって、こうするしか落ち着かせる術を知らないんだもん。
子供の様に駄々をこねるように―ぎゅっと瞳を閉じて枕に顔を沈めて嗚咽を漏らす。
しばらく泣き叫んで疲れたのか意識が若干朦朧としていく。ふと目蓋を閉じかけた時……

「―そんなに消えたいか?」

と、突然男性の声が聞こえた。

この家には私しか居ないはずなのに。

空耳にしてはハッキリ聴こえた。
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