地味男の豹変〜隠された甘いマスク〜



時間になり、指定された場所までタクシーで向かった。


私の家から近くて、会社からは遠い。
山岡主任も私の家からそんな遠くないのかな?


着いたのは居酒屋で、私も一回友達と行ったことある所だった。


居酒屋の前でタクシーを降りると、山岡主任から電話が掛かって来た。


「もしもし?」


『あっ、高瀬さん?あと五分くらいで着くから』


「私も今着いたんで入口で待ってますね」


『わかった。じゃあもう少しだけ待ってて!』


「はい」


そう言って電話を切った。
何だか急にドキドキしてきた。
山岡主任は私を元気づけようと飲みに誘ってくれただけなのに、それでも二人きりっていうのは嬉しかった。


そしてーーー


「お待たせ!仕事を急いで片付けたんだけど、取り敢えず中に入ろうか?」


「はい」


そう言って二人で中に入る。


ビールとつまみを適当に頼み、先に来たビールで乾杯した。


「少しは元気になったみたいで安心したよ。ミスをしてしまった事で人は学し、たまたま在庫があったから良かったけど、なければ得意先に迷惑がかかる。俺も入社当時は色々と大変だったし、間違えて発注して得意先に凄く怒られた事もあるからね。だから次からはミスしないようにチェックだけは頼むね?」


「はい、以後ミスのないように気をつけます」


「なら安心だね?じゃあ気を取り直して今日は沢山食べて飲もう」


「はい」


山岡主任は優しくて、私は仕事も今よりもっと頑張ろうって思ったし、山岡主任がやっぱり好きだって思ってしまう。


山岡主任が結婚してなかったら、例え振られたにしても"好き"だって言葉にだして言えるのに。


私はあまり強くないのにお酒を沢山飲んでしまい、居酒屋を出る時には一人でまともに歩けない状態だった。




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