地味男の豹変〜隠された甘いマスク〜



メイクを終えてリビングに行くと、笹山くんはソファーに座り新聞を読んでいた。


「お待たせ」


「素顔は子供っぽくて可愛いらしい感じだけど、メイクすると大人で綺麗な女に変わるよな玲美は。両方好きだけど、俺にはそのギャップがまたいをんだけどな。今すぐにでもキスしたくなる」


そんな事を言われてしまうと照れてしまう。
きっと顔が真っ赤になってる筈だ。


「笹山くんにそんな事を言われたくないんだけど。ギャップあるのは笹山くんじゃない」


そう言った私を見て笹山くんはニヤリと笑い私に近づいてきた。


「な、何よ……」


私は後ろへと下る。


とうとう壁まで追い詰められてしまい、逃げ場がなくなってしまった。


すると笹山くんは私の顎を持ち上げると私を見つめる。


そんなに見つめられるとドキドキしてしまう。


「約束忘れたんだ?」


「約束?」


「笹山くんって言うのは禁止だったよな?言ったらキスするって言った筈だけど?」


すっかり忘れていた……。


「仕方ないじゃない、普段から笹山くんって呼び慣れてるんだから」


「じゃあ今回だけは見逃してやるけど、ちゃんと陽って呼べよ?」


「わ、わかっ……っん」


そう言いかけたらキスをされてしまい、見逃すと言った言葉は何処へ?


「見逃すわけないだろ?じゃあショッピングモールに行きますか」


何だか嬉しそうにそう言って車の鍵を指に入れてクルクルと回しながら玄関に向う彼の後ろ姿が憎たらしい。


家を出て彼の車に乗りシートベルトをした。




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