ブラッド
 生身の人間だから、疲れてしまう。


 捜査本部にはG県警の刑事たちが多数出勤してきていた。


 伊里町は遅い。


 午前9時過ぎにスーツ姿で来て、


「佐山、行くぞ」


 と言ってきた。


「はい」


 頷き、作っていた手元のデータを保存して、歩き始める。


 タクシーは駐車場に停めてあり、揃って乗り込むと、また外回りが始まった。


「伊里町さん、顔色悪いですよ」


「ああ、気にするな。ちょっと眠れないだけだ。すぐ治る」


「ノイローゼなんでしょ?」


「まあな」
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