ブラッド
第5章
     5
 週が明けてからも、G県警や所轄署の捜査員はずっと、金子雅夫及び工藤隆明殺害の案件を追っていた。


 篠原陽三が絡んでいる。


 工藤の遺体は監察医による検死が終わった後、結果を記す調書が作成された。


 警察職員も工藤が従流会内のトラブルに巻き込まれた挙句、殺害されたと思うに至る。


 G県警のマル暴は組中枢にいる羽野和夫をマークした。


 羽野が工藤殺害に一枚噛んでいるのは間違いない、と目星を付けたからだ。


 マル暴の見立ては当たっていると思った。


 羽野は気性が荒く、どこででも悪いことをして回る。


 人間のクズだった。


 あの野郎!


 皆、心の中ではそう思っていたが、ヤツの周りには取り巻きが多い。


 すぐに捜査を開始するのは危険だ。
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