ブラッド
 暇はない。


 伊里町を待ち続けた。


 一時間ほど。


 午前9時を回る頃に署内で合流し、外へと向かった。


 駐車場に停めていたタクシーに乗り込む。


 覆面車はスピードを上げて、街を走った。


 G県内を走る。


 ずっと。


 繁華街から湾岸倉庫など、辺り一帯を走行する。


 何かと疲れていた。


 毎日。


 だが、刑事の仕事にも際限や限界といったものがある。


 そう思うと、目の前のことをこなすのに、苦痛はない。
 
< 261 / 349 >

この作品をシェア

pagetop