ブラッド
 伊里町運転の覆面車が街を走る。


 変わったことはない。
 

 新たな一日が始まり、また俺たちは苦労する。


 それだけだった。


 G県内は絶えず人が流れ続ける。


 俺も運転席の伊里町も、ずっと前を見据えていた。


 刑事になって、自分の時間がない。


 だが、仕方ないと思う面もあった。


 それだけ仕事量が多いということである。


 気にすることもない。


 いろいろあっても、時が解決する。


 そう思い、毎日過ごしていた。


 外回りで寒風に吹かれながら……。
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