ブラッド
 飲んだ缶コーヒーはブラックだったが、苦味にも慣れていた。


 車は走行する。


 路上を。


 揺られながら、スマホのGPSを見ていた。


 位置情報は常に把握している。


 暇はない。


 伊里町は前方を見て、ハンドルを握っていた。


 互いに無言を通す。


 時折、車載無線機に他の捜査員から連絡が入ってくる。


 相方も応答しながら、運転し続けた。


 春の陽気で暖かい。


 だが、俺たちは常に外回りだ。


 おそらく下古毛が捕まれば、事件は無事解決ということだろう。





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