ブラッド
 耐えていくしかない。


 常にそう思っていた。


 スマホのGPSを見る。


 位置情報をずっと確認していた。


 ホシは見つからない。


 前方に目を向ける。


 伊里町が、


「ホントに下古毛の野郎、いるのかな?」


 と独り言のように言った。


 俺の方も首をかしげていたのだが、やがて、


「いるはずですよ。根気よく探りましょう」


 と返し、軽く息をつく。


 午後の日差しは暖かい。
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