ブラッド
第8章
     8
 連日、ずっと街を回り続ける。


 伊里町運転のタクシーに乗りながら……。


「佐山、ヤツらはしぶといぞ。俺たちも腹括らないとな」


「ええ」


 運転席の相方はため息をつく。


 珍しい。


 いつもは精力旺盛な伊里町も、さすがにマルB相手だと、委縮するようだ。


 ビビってるらしい。


「伊里町さん」


「何だ?」


「従流会が怖いんでしょう?」


「当たり前だよ。暴力団相手だと、いくら刑事だって何されるか分からないし」



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