ブラッド
 伊里町と辺りを見ているうちに、県警本部と所轄の合同捜査班が臨場してきた。


 皆、嫌な顔をしている。


 それもそうだろう。


 こんな真夜中に殺人事件の捜査があるのだから……。


 遺体の身元はまだ分かってない。


 おそらく病院での解剖等が終わり、全てが調べられた後で、捜査会議において明かされるだろう。


 あの監察医たちはG県立監察医務院所属だ。


 司法解剖のプロである。


 軽く一息つけたのは、日付が一つ変わって午前1時過ぎだった。


 熱波が辺りを襲う。


 絶えず蒸していて……。


 着ていた長袖のワイシャツの下は汗でぐしょ濡れだった。
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