ブラッド
 組対は普段、陰に隠れる。


 大抵、実態も分からず、裏で暗闘していることが多い。


 詳細は不明である。


 一応警察官なのだが、基本的な階級や職務内容、それに活動等も明かされてないのだ。


 下古毛はそういった刑事の中の一人で、いつもはどこにいるかすら分からない。


 俺たちは連日、篠原陽三と羽野和夫を追いながらも、下古毛充に関する手がかりを見つけていた。


 何せ、警官が一名殉職したのである。


 銃殺という形で。


 三宅も無念だったろう。


 段野に撃たれて。


 その週の金曜の朝、通常通り捜査本部に出勤し、デスクで作業する。


 三十分ほど遅刻して、伊里町が帳場に入ってきた。



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