ブラッド
 頷き、近くのコンビニに買い出しに行く。


 二人分の食料と飲み物を買い、戻ってきた。


 タクシーの中で食事する。


 無線は鳴らない。


 警察はこの瞬間でも誰かが動いている。


 事件解決に向けて。


 篠原、羽野、そして下古毛――、ターゲットの顔が脳裏に浮かぶ。


 嫌なヤツらだが、それを相手するのが仕事だ。


 食事後、また動く。


 G市内全体を回っていった。


 万遍なく。


 一つでも多くの手がかりを掴むために。


 伊里町のスーツからは、汗と混じり合ったデオドラントの匂いが漂う。
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