腐女子うさぎとゲーマーチーター
第1話 思いは突然に
「お!凰成〜!おっはよー!」
「凰成、凰成、ここの攻略法教えてよ!」
「凰成〜!遊ぼー!」
はぁ……集まってる集まってる……
男子に囲まれる凰成、素敵だなぁ……


腐女子うさぎとゲーマーチーター









私は雪乃彩華(ゆきのさやか)。11歳。
6年生になったばっかりの現役バリバリ腐女子。もちろん、腐女子ってことはみんな、家族には秘密にしてる。
ヲタクでニコ厨の上腐女子って……ばれたくないし……w
でもみんなは薄々気づいてるかも……笑
まあそんなことはどうでもいい(かな?)
何たって目の前には……

あの超受け受けしい身長163cm超イケボ超スポーツ万能ゲーマー、
鈴也凰成(すずなり おうせい)がいるから!

そして、私はこの人で、毎晩毎晩妄想しなくちゃいけないという羽目になった。

彼と最初に出会ったのは、小学校3年生の時だった。そのときからもう腐女子に目覚めていたので、受け、攻めは区別がついた。
最初はまあ曖昧なカップリングだったが、彼の番になると、ものすごいスピードで私の腐ィルターが作動し、 受けエピソードが頭にはっきりと浮かんできた。
私は感じた。この人こそ、学校1のセクシーボーイになると。
なぜなら、目はぱっちり、髪は綺麗な黒髪、大きくてふっくらした唇、細くて、いい感じに肉がのった腕と脚、長くて綺麗な指、倒れてしまいそうなセクシーな香り……言い出したらきりがないほど、彼は非常に強いフェロモンを持っていた。


そして、いつからだろう。

君を無意識に見つめていたのは。

………………恋?恋なのか?……これは




中間休み。









「彩華!」
「わっ、びっくりした、妃奈(ひな)か、」
「はっはっはっ……またあんた、凰成で余計な妄想してたんでしょ、ん?」
「ち、違うよ!(汗)」
「まあ、あのルックスじゃあ、そうなるよね。」

この子は、永遠の親友、河合 妃奈。
同じヲタクでありながら、(腐女子ではない)私のことをフォローしてくれるやさしい子。
実際、女友達はたくさんいる……ほうではないが、私は妃奈だけで充分という考えのほうが大きい。

それはさておき、男子陣は……

ムムッ!??

腕相撲中だとォォォォォ!?
こ、これは…………
無条件で手を握れるやつじゃないっすか!
神様が舞い降りたぞ!フゥー!フゥー!




「な、なぁ、w雪乃さん誘う?」
「えー、女子がいても面白くねぇじゃん、」
「それがさ、雪乃さんの握力、

42.7キロらしいぜ……」
「え!?やっば!!」
「ちょっかい出すと殺されそうだな……w」
「ま、とりあえず誘おうぜ、」


ああ、凰成が男子とあんなに密着して話してる……
何の会議だろうか……笑笑

「雪乃さーーん!!」
「はぇえ!?」
不意に名字を呼ばれ、ビクッとなる私、
なにすんだこのやろう。と言いたいが我慢をする。

「腕相撲しませんかー?」
「う、腕相撲ッ……?や、やるやるやる!!」

「うわw強敵連れてきやがったw」
「瞬殺されるぞーw」
なんかわけのわからないことを言っているような気がするが、そこは無視しておこう。

「ふーん、雪乃さんも、腕相撲するんだ。」­

凰成…………(泣­)するよ。私だって。
人間だもの!w

「じゃ、凰成と勝負で。」
「おーおー、キング、雪乃さんに負けんなよw」


ギュッ……

「ッ……」

あったかい……
凰成の手を握った瞬間、私のなかの冷たいものが、融合し、とろけあっていくような感覚が身をよぎる。人の体温だけじゃない、心の底からの暖かいなにかが。
単なる腕相撲でも、こういうのは私だって胸が高鳴るものだ。

「レディー、ゴー!」

「ふんぬぅぅぅぅぅ!!!!!」
「う……ぐぐぐっ……」

ゴトン。


「っえー!雪乃さん秒殺!!!」
「すっげー!」

な、な、


何やってんだ私はァァァァァ!!

やばい!こんなことしたら!
私男子に囲まれてしまって!
2度と凰成で妄想出来なくなるじゃないか!


ぁぁぁぁぁ

しまったぁぁぁぁ

「はぁ…………はぁっ……w雪乃さん……」
「は、はぇ!?」

「いってぇ……www骨折れるかと思ったァ……ww、でも……、」
­「俺、弱い女より強い女のほうが好きだなぁ……」


ドキン。

「え!?そ、そうかな!?あ、ありがとう……」



今、気づいた。


雪乃彩華11歳、腐女子。
今、目の前のゲーマー男子に、

恋をしました。





第1話 完
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