七夕幻想 《囚われのサンドリヨン後話》
あれ?これは……

 私はそれを手にとった。

 あ……


 カジノのチップだ!


 確かに昨夜まではこんなものは置いて無かった。

 置いてあった場所にもう一度目を向けると、小さなメモ用紙に綺麗に大きさの揃ったアルファベットが並んでいる。

“Two weeks! ”

(あと2週間!)

 これは……

 ニンマリと頬が緩んでいくのを止められない。

 そうだ。

 昨夜のあれは、私の願望でも夢でもなかった。
 あの人は、ホンモノの願いを叶えてくれたんだ。

 私は部屋のドアを思いきり開け、もやのかかった空を見上げた。



 あと2 週間。


 たったそれだけ待つだけで、完全に揃った“家族”のハリが、動き出す。


(おわり)
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