樹の生えた彼と私の奇妙な恋
出会い

二十八歳独身の私が好きになったのは頭に樹が生えてる無口な男だった。



二十代後半の私は結婚も焦っていたし仕事でも息詰まっていたが、そんな事は関係なく彼を初めてバーで見た時から恋に落ちたのだ。


それは、落ちるって表現がぴったりな気がした。


まるで子供の頃に友達がイタズラで掘った穴にストーンと落ちたように恋に落ちたのだ。


テキーラを一気に飲んだ時のようにスッと熱い物が喉を抜けて胃に入るのが分かるような感じだった。


それは、熱かった。

あっという間に熱い恋にストーンと落ちたのだ。

ストーンとだ。


恋愛に慎重な私にしては珍しい事だし何より彼の頭には樹が生えていたのだ…



奇妙な恋愛でも恋愛は恋愛なのだ。




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