満月の夜に優しい甘噛みを
(・・・っ、まだ痛いな。)

昨日の夜帰って

首元を見てみたら針が刺さったような跡があった。

(これ、なんだろう・・・?

昨日の・・・かな?)

私は首に絆創膏を貼るという

生まれて初めての体験をした。

(・・・一応はれたけどこれなんの傷だろ?)

観音凛叶が私を呼んだ理由。

それがいまいちよくわかってない。


そこから5分くらい

鏡と向き合っていたら、

あっという間に学校に行く時間になっていた。

(あっ!

行かなきゃ!)

私は急いで家を飛び出した。



ぎりぎり8時の電車に間に合った。

(はぁはぁはぁはぁ・・・

つ、疲れた。)

私が息切れしていると背後から聞き慣れた

「おーはーよ」という声がした。

振り返ると予想したとおり青空だった。

「おはよ。

・・・今日は女の子達と一緒じゃないんだ。」

「うん。そうだよ」

「なんで~、いっつも女の子といるのに」

「今日は曖來に話があって

女子といねぇーんだよ。」

「・・・話ってなに?

どーせ美弥俚のことでしょ?」

「違う、違う。」

「え?じゃあ話って・・・」

「昨日、曖來どこにいた?」

思わず「公園!」と言いかけたがなぜか、言えずに

「家で漫画読んでたけど」と嘘を言った。

「おっかしいな~。

じゃあ昨日のは見間違いか~」

「なにが?」

「いや、昨日夜に

曖來に似たやつと白い髪の男が一緒にベンチに座ってたって」

「それが?」

「男の方が曖來に似たやつの首に

噛み付いて血を吸ってたって聞いたんだけどなー。

嘘だったんかー。

つまんね。

ネタにしてやろーと思ってたのに。」

(確かに私は昨日いたけど・・・血なんか・・・)

「わ、私なわけないでしょ。」

「だよなー。

お前が吸血鬼に相手されるわけねぇーか」

「ねぇ・・・

それどういう意味?」

「そのまんまの意味だよ

お前を襲う吸血鬼なんているわけねぇーよな。

お前色気とかないしアハハハハ」

「・・・ムーッ。」


「ごめんごめん。

言いすぎたって!

悪い悪い。」

青空をポカポカとグーで殴る。
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