最初で最後の恋。

「いつ帰って来たの?」


「んー、一週間前くらいかな。ここの編入に手こずっちゃって。」

「そっか、でもなんでここの学校にしたの?」


そう言うとユキは私の方を向いて、カエデが居たからと笑った。
「ユキは相変わらずお世辞が上手いね、ありがとう。」

ユキはいつもニコニコしてて何処となく涼一に似てる、気が合うのかも

「カエデはどうして屋上にいるの?ここ立ち入り禁止だよ?」

キョトンとして聞くユキに目が凄い速度で泳ぐ、友達と喧嘩したからなんて言えやしないしそんなこと言ったらきっとその人を八つ裂きにするーっとか言い出すから。

「ちょっと体調悪くて、でも保健室に言ったら大袈裟かなって。」

まあ、少し寒気がするのは嘘じゃないから
そう思っているとユキは自分のおでこを私にくっ付けて熱を計ってくれた。
「少し熱っぽいよ?保健室に行った方が良いよ。俺が連れてくから。」

そう言うと乗って?と言って腰を下ろしたユキの背中は前よりも当たり前だけどずっと大きくなっていた。
そんな短期間のうちに大きくなっちゃうから、置いて行かれた気持ちが襲ってくる。
少し恥ずかしいけど今は助かったと私はユキの背中に乗った。

「カエデまた軽くなった?もっと肉がついた方がいいと思うよ。」

「ありがとう、ユキ。」

首に回した腕がやけに熱い、ついさっきまで嫌悪感や罪悪感、色んなどす黒い感情が渦巻いていたのにユキの背中はあったかくてぎゅぅっと抱き付いた。

こんなに幸せでいいのかな。

いつの間にか私はぐうぐうと深く眠りについていた。
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