無口な私の復讐劇




海岸から数キロ離れた住宅地の中にあるのが笠原由美子の家だ。

旦那は大企業の部長だったかな?

どうでもいい。

二人暮らしの割に見た目は広い。

たしか、二階の西向きの部屋が笠原由美子の部屋、北向きの部屋が旦那の部屋だった。

ドローンにサーモカメラをつけて二階へ飛ばす。

「えっ…」

どうしよう。

どうしよう。

「…アーッハッハッハッハッハッ……」

夜中に大声を出さないように口を塞いで笑った。

笑いが止まらない。

「馬っ鹿みたい!!」

おっと、大声は厳禁。

サーモカメラには足が浮いている笠原由美子の姿。

色からして、死んでからかなりの時間が経っているだろう。

その近くには椅子、そして遺言のような紙。

私が犯人だと匂わすようなことは書けないだろうから始末しなくていいや。

そろそろ眠たかったんだよね。

手間が省けてラッキーだ。

さぁ、明日の学校が楽しみだな〜。

担任と生徒二人が行方不明、もしくは死んでいる。

どうなることやら。

「あっ…」

帰り道に千歳杏里の家を見つけた。

たしか笠原由美子の家の近くと言っていた。

ピアノの音が聞こえる。

ベートーヴェン、ピアノソナタ大14番…。

「月光…」

次のターゲット、きーめた。
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