カミネガイシ
(✩) prologue
「可愛いね」
産まれてきた我が子を抱き抱えた私をみて夫は言った。
数日前に産まれた念願の赤ちゃん。女の子。3044g。
「ねえねえこの子は将来何になるのかな?」
「そんなの大女優に決まってるだろ」
「なんで決まってるのよ(笑)」
「だってこんなに可愛い子がいるかよ」
「・・・そうだよね。とっっっても可愛いよね」
周りからみたらこれが親バカというものになるのだろう。それでも良かった。だって幸せなのだから。

✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

夫が自宅に帰り少し病院内を歩いてみると、保育器に入った赤ちゃんが目に入った。
思わずガラス越しに手をあててしまう。
「どうかされました?」
ハッと顔を見上げ手を離すと、女性が立っていた。
「その子、うちの子なんですよ。可愛いでしょ・・・って親バカですね」
「・・・・・・・・・いやいや!私も親バカなので全然!気になさらないでください」
返答に数秒の間があいてしまい不自然でなかったか不安になるが女性は気にせず
「良かった・・・どこの家庭もそうなんですかね」
と言ったのでホッとした。
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