さようなら、きんいろ。




「真波ちゃん」



みんなと話していたはずの都が顔をのぞきこむようにして、あたしに声をかける。

なに、と冷たく返してみても、にこにこと彼女の表情は変わらない。



「来てくれてよかった。
わたしちゃんとね、真波ちゃんと話す時間取りたいなって思ってたの」



昨日あれだけ思いっきり拒絶したっていうのにまるで堪えていない。

そんなことなかったかのような反応だ。



はぁ、もう、なんば言いいよっと?

もしかしてばかじゃなかろうか?

救いようんなか感じのばかじゃなかと?

心鈍いちゃなかろか、こんほけさく。



「あんたのために来たとやなかと。
うちはおばちゃんのコロッケときょうちゃんのために来たとやけん」



わざわざあたしに言いに来てくれたから。

少しでもきょうちゃんのそばにいたいと思ったから。



それなのに、きょうちゃんとはちっとも話せていないんだけど!



そうっと視線をきょうちゃんに向ける。

そしてそのまままじまじと見つめる。



……ああ、また飲まされとぉ。






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