さようなら、きんいろ。




「それで、都ともちょっとでいいから話してやって」

「できん」



なんの、そいが狙いやったとね。

晩ごはんのお誘いも、コロッケも、嬉しかったとに、うちのためとじゃなか。

都のため。



うちは都となんて少しでん話しとぉはなか。

きょうちゃんに好かれとる女ごたっとは好かん、大嫌い。



ああ、そいばってん、うちはあいつば追い出さんばでけんとやった。

そげんなら……仕方(しょん)なか。

仕方(しょん)なかさ。

きょうちゃんの誘いば断るごたとのでくるはずもなかとやもん。



「都と話すとはいや。
ばってん……晩ごはんは、行く」



ちらりと様子をうかがうように、きょうちゃんを見上げると、満足げにうん、と笑っている。

それだけであたしの胸は死にそうなくらい弾んで、ぎゅうぎゅうと締めつけられる。



きょうちゃんはずるか。

とってん、とってんずるか。



そがん彼の隣に並ぶとには、……うちはなんば頑張ればよかと?

ねぇ、教えてくれんね、きょうちゃん。






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