また、部屋に誰かがいた
「ん~おいしいっ!」

ニッコリ微笑んで彼女が思わずそう叫んだとき

「カオリサン…カンショクハ・イケマセン」

彼女に近づいて来た一体のロボットがたどたどしい機械音声で言った。
彼の名前はP15型タイプA。病院で働く医療・看護用の人型ロボットで体長は100cmくらい、人型といっても両手はあるが足はない。
代わりに8個のタイヤで、段差はもちろん、階段も昇り降りできる。
顔は丸くてほとんど「のっぺらぼう」だが、手を使っての活動時に周囲の状況を感知したり、対象物を認識するための赤外線感知器とモニターカメラが左右に対になって付けられているので一応それが目のように見える。

先月17歳の誕生日を迎えた香織は病室を訪れたクラスメイトたちにお祝いをしてもらったが、そこではしゃぎすぎたのか、その夜、急に容体が悪化した。
医師たちの懸命な処置によって万一には至らず、やがて彼女は回復したが、病室を移ることになってしまい、その新たな病室にP15がいた。

そのロボットは常に病室で待機し24時間体制で対象である彼女をモニターしながら世話をするため病院側で手配してくれたものだ。
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