また、部屋に誰かがいた
目以外の感覚が全くないまま、
視界が、さっきより、はっきりしてきた。

そう思ったとき、僕は気づいた。

僕がいま見ている恐ろしく、おぞましい光景…

その…哀れな被害者と僕は目が合った。


可哀想な被害者…






それは、僕だった。

右を向いたまま動かせない頭で、その視線の先にあったのは大きな鏡。

それに気づくと
例の、ぐちゃ…ぐちゃ…という音も、僕のお腹辺りから聞こえていた。


そして、僕の左耳には、
すぐ側にいる男の「ぶふふふふ…」という笑い声が聞こえた。







「部屋に誰かがいた」




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