また、部屋に誰かがいた
「やあ!気が付きましたか?」
男の声が飛び込んできた。

「手荒なことをして、すいませんでした。既にお気づきと思いますが我々は警察関係者ではありません」

(我々?ということは…ここにいるのは一人じゃないのか…)
僕は勇気を振り絞って口を開いた。
「僕を…どうするつもりですか?」

「あなたに聞きたいことがあって、ここにお連れしました」

「聞きたいことって?」

「実は我々も、あの西尾百合奈というアイドルはあまりフアンを大事にしない嫌なアイドルだと思っていたんです。だから、あなたを警察から逃がしてあげたいと考えているんですが、その前にあなたがなぜこんなことをしたのか、本心を正直に聞かせていただきたいと思っているんです」

「だったら、目隠しと縄も取って僕を自由にしてください」

「そうしたいのですが、やはりあなたは殺人者です。お話しを伺って、我々が安心できるまでは無理です」

「いったい…何を話せばいいんですか?」

部屋の中にいる誰かが自分の味方らしいこと聞いて、僕は少しだけ落ち着いたが、まだ信用はできない。
いつもそうだ…。僕はついていない。警察からうまく逃げられると思っていたのに…
そして、無事に逃げきったら、僕は自殺しょうと考えていた。
警察に逮捕され、この身を世間にさらされるなんて醜いラストはごめんだ。

自分の結末は自分で決められる。そして僕の死によって今回の事件の意味を世間は知るのだ。
死ぬことは怖くない。むしろ、ずっとそれを望んでいた。



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