初恋のお兄さんと私


埒が明かない、むしろ分が悪いと感じた顕奘さんが、手をメガホンにして怒鳴った。


「榛葉!!卒業したら胴着もらってやるから、負けてもいいぞ!!思いっきり戦え!!」


七海先生は、咄嗟に意味がわからずキョトンとするのがわかった。


けれど私はすぐに意味がわかった。
すーっと無駄な力が抜け、冷静になってきた。


「メーン!!」


素早く身構え、すれ違い様に面を打った。


パン!!


「勝負あり!!そこまで!!」


面が一番点数が高い。
呆然と膝から崩れた七海先生。


「何よ!?どういうこと!?」


「伊達に古い付き合いしてないってことですね」


小手を外し、手を差し伸べる。


要するに、中身ごと貰ってやる、ということだ。
みんなの前でプロポーズされたも同然だ。



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